小ロットでの薄板ばね製作!ばね作りの基本工程を詳しく解説
薄板ばねの製作についての体験談を交えながら、手加工による小ロットの製作方法をわかりやすくご紹介します。
板ばねの製作に興味がある方は、ぜひ参考にしてください!
薄板ばねとは?基本的な構造と用途
「ばね」と聞くと、螺旋状の圧縮ばねやフックがついた引張ばねを想像するかもしれませんが、「板ばね」は少し異なります。
板ばねは、金属板を曲げることで生まれる元の形に戻ろうとする力を利用したばねです。
特に薄板ばねは、平らで帯状のステンレス鋼やばね鋼から作られるものが多く、主に電子機器や精密機器の内部で重要な役割を果たしています。
薄板ばねの製作工程
薄板ばねの製作は大きく分けて4つの工程で行われます。以下にそれぞれの工程を詳しく解説します。
材料の切断
最初の工程は、指定の板厚・幅で材料を切り出すことです。ここでは「ケトバシ」という機械を使用します。
ケトバシはペダルを足で踏んで動作するため、繊細な力加減で材料を切断するのに最適です。お客様の指定通りの寸法で、正確に切り出すことが求められます。
穴あけ
次に、切り出した材料に穴をあけます。
穴あけもケトバシを使って行い、標準のパンチと呼ばれる金型を使用して、指定された位置と径で穴を加工します。一般的には0.5mm単位での穴径が可能で、正確に位置を合わせて加工します。
曲げ加工
材料に指定の角度や形で曲げ加工を施します。
ここでは「エキセンプレス」という手動のプレス機を使用します。
このプレス機も足踏みで動作するため、力加減や位置調整が非常に重要です。専用の治具を使って精密な曲げを実現し、寸法通りに仕上げます。
熱処理
最後に、加工したばねに熱処理を行います。
熱処理によって加工中にかかった応力を除去し、寸法を安定させると同時に、ばねが元の形状に戻りやすくなる特性を得ます。
この工程を経て、ばねがしっかりとした耐久性を持つようになります。
薄板ばね製作に使う機械の特徴
製作工程で登場した「ケトバシ」と「エキセンプレス」は、ばね作りに欠かせない機械です。
それぞれの特徴と役割を紹介します。
ケトバシ
ケトバシは、足でペダルを操作して加工する機械です。
切断や穴あけ、曲げ加工ができる万能機で、人の力加減によって微妙な調整ができるため、精密な作業に適しています。
ただし、力加減を誤ると治具が傷つき、仕上がりに影響が出ることもあるので、慣れるまで慎重さが求められます。
エキセンプレス
エキセンプレスも足踏みで操作する機械で、より小さく細かい加工を行う際に使用します。
電気を使わず、ペダルの力で加工するため、電源がなくても作業できるのが特徴です。
板ばねの形を精密に整えたり、微調整が必要な際に重宝されています。
まとめ
薄板ばねの製作は、いくつもの工程を丁寧に行うことで高い精度が求められます。
特に、手加工での小ロット生産では、ケトバシやエキセンプレスの操作が欠かせません。
職人技と繊細な機械操作が必要な製作工程を経て、薄板ばねが完成します。