パルスオキシメーターで使われるばねの役割とは?意外な活用例と製作の工夫
新型コロナウイルスの影響で、体調管理がより重要視されるようになりました。
その中でも、「パルスオキシメーター」は、酸素飽和度や脈拍を測る医療機器として注目されていますが、今回はパルスオキシメーターと、そのばねの役割や製造方法についてご紹介します。
パルスオキシメーターとは?その仕組みと重要性
パルスオキシメーターは、皮膚を通して血液中の酸素飽和度と脈拍数を計測する装置です。
コロナウイルス感染症対策としても利用され、肺炎などで酸素飽和度が低下していることを早期に発見する役割があります。
使用方法は簡単で、指を機器のクリップ部分に挟むだけで計測が始まります。
酸素飽和度とは、血液がどれだけ酸素を全身に供給できているかを示す指標で、健康な状態では99%前後を保つのが理想です。
このパルスオキシメーターが日本で開発され、医療分野や家庭での体調管理に広く活用されています。
パルスオキシメーターのばねの製造方法
パルスオキシメーターのクリップ部分に使われるばねを製作しています。
コイル状のばねではなく、細いワイヤーを複雑に曲げた形状で、使用するのは0.7mmのばね用ステンレス鋼線です。
このばねは、指を挟むクリップの部分にちょうどよい力を加えるために欠かせない部品です。
製造工程と使用される機械
このばねの製造には「ワイヤーフォーミングマシン」という機械を使用します。
ワイヤーフォーミングマシンは、線材の供給から回転、ツールによる曲げ作業を繰り返し、複雑な形を一筆書きのように連続して加工することが可能です。
ワイヤーに17箇所もの曲げが入っているため、微細な調整を機械が正確に行います。
また、機械だけでなく、時には手作業による仕上げも必要です。
ばねの形状や曲げの長さ、成形スペースの制限などが理由で、機械だけでは加工しきれない部分があるためです。
ここでは熟練の職人が精密な調整を行い、品質を確保しています。
熱処理とその重要性
最後に行うのが「熱処理」です。
熱処理をすることで加工中に生じた応力が取り除かれ、ばねの寸法が安定します。
熱処理後に形状が若干変化するため、この変形を予測して形状を整える必要があります。
ばねが正確な力で指を挟むために、見えないところで多くの工夫が施されています。
まとめ
パルスオキシメーターには、当社のばねが重要な役割を果たしています。
クリップとしての適切な力を実現するため、精密な曲げ加工と熱処理の工夫が施されています。
このように医療機器分野でも幅広く活用されるばねの世界に、ぜひ興味を持っていただければと思います。